自己分析で「やりたいこと」が見つかったら次は何をする?:OB/OG訪問・短期インターンでの実践的検証ステップ
自己分析で「やりたいこと」が見つかったら、次のステップへ進みましょう
就職活動に失敗し、原因が分からず悩んでいる方も多いことと思います。自己分析をやり直す中で、「もしかしたら、こんな仕事が自分に合っているかもしれない」「こんな業界で働きたい」といった、「やりたいこと」の候補や方向性が見えてきた方もいるかもしれません。
自己分析は、自分自身の内面(興味、価値観、強み、苦手など)を深く理解するための非常に重要なステップです。しかし、自己分析で得られた結果は、あくまで「現時点での自分自身の理解」に基づいた仮説にすぎません。頭の中で考えた「やりたいこと」が、現実の仕事や働く環境と本当に一致するのかどうかは、実際に確認してみなければ分かりません。
特に、一度就職活動に失敗した経験を持つ方にとって、次の行動はより慎重に行いたいと考えるのは自然なことです。自己分析の結果を単なる「机上の空論」で終わらせず、それが現実世界で通用するのか、そして何よりも「本当に自分にフィットするのか」を確かめる作業が不可欠です。
この記事では、自己分析で見つかった「やりたいこと」の仮説を、OB/OG訪問や短期インターンシップといった具体的な行動を通じて検証し、その精度を高めていくための実践的なステップをご紹介します。
なぜ自己分析で見つけた「やりたいこと」を検証する必要があるのか
自己分析は、過去の経験を振り返り、自分の内面を掘り下げることで、自分にとって大切な価値観や興味、強みなどを特定するのに役立ちます。これにより、「どのような仕事であればやりがいを感じそうか」「どのような環境であれば活躍できそうか」といった、働く上での軸や「やりたいこと」の仮説を立てることができます。
しかし、自己分析の結果だけでは、以下のような限界があります。
- 情報の不足・偏り: 自己分析は主に過去の経験や内省に基づきます。特定の仕事や業界に関する知識が不足していたり、メディアなどで得た情報に偏りがあったりする可能性があります。
- 理想と現実のギャップ: 頭の中で思い描く仕事内容や働く環境は、現実とは異なる場合があります。具体的な業務内容、職場の雰囲気、人間関係などは、実際に触れてみないと分かりません。
- 自分の認識とのズレ: 自己分析で「これが得意だ」「これが好きだ」と思ったことでも、実際にその環境に身を置いてみると、予想外の難しさがあったり、思ったほど興味を持てなかったりすることがあります。
これらの限界を乗り越え、自己分析で得た仮説の確からしさを高めるためには、外部からの情報や実際の体験を通じて検証することが不可欠なのです。
「やりたいこと」の仮説を検証するための具体的な行動
自己分析で立てた「やりたいこと」や「向いているかもしれない仕事」という仮説を検証するためには、以下のようないくつかの具体的な行動が有効です。
- OB/OG訪問: 実際にその業界や企業で働く先輩社員から直接話を聞くことで、ウェブサイトやパンフレットからは得られない生の声やリアルな情報を得ることができます。
- 短期インターンシップ: 実際に職場で働く経験を通じて、仕事内容や職場の雰囲気を肌で感じることができます。数日から数週間のものが、検証目的には適している場合があります。
- 企業説明会での質問・社員交流: 説明会で社員の方に積極的に質問したり、座談会などで交流したりすることで、企業の雰囲気や社員の生の声に触れる機会を得られます。
- 業界・企業イベントへの参加: 企業が主催するカジュアルなイベントやミートアップに参加し、社員の方とリラックスした雰囲気で話す機会を作ることも有効です。
これらの行動は、いずれも自己分析で得た「こんな仕事、こんな環境が自分に合うかもしれない」という仮説を持ち込み、それを「実際はどうなのか?」と問いかける機会となります。
OB/OG訪問で「やりたいこと」を検証する実践ステップ
OB/OG訪問は、比較的気軽に始められる検証手段の一つです。以下のステップで進めてみましょう。
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訪問するOB/OGを選定する: 自己分析で見つかった「やりたいこと」候補や、興味を持った業界・職種に関連する企業に勤めるOB/OGを探します。大学のキャリアセンターや、OB/OG訪問を支援するオンラインサービスなどを活用してください。特に、自己分析で「自分は〇〇を重視している」という働く上での価値観が見つかった場合は、その価値観がその企業や部署でどのように実現されているかを聞ける人を探すと良いでしょう。
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検証したい「仮説」と「質問リスト」を作成する: OB/OG訪問の目的は、自己分析で立てた仮説(例:「この仕事は自分の〇〇な強みが活かせそうだ」「自分は△△という価値観を大切にしたいが、この業界では実現できるか」)を検証することです。そのために、具体的に何を聞きたいのか、質問リストを事前に準備しましょう。
- 質問例:
- 現在の具体的な仕事内容と、一日のスケジュールについて教えていただけますか?(自己分析で考えた仕事内容との比較)
- 仕事のやりがいや、逆に大変だと感じる点は何ですか?(自分の興味や苦手との照らし合わせ)
- どのような時に最もモチベーションを感じますか?(自分のモチベーション源泉との比較)
- どのような人がこの部署/会社で活躍していますか?求められるスキルや資質は何ですか?(自分の強み・弱みとの照らし合わせ)
- 仕事を進める上で、〇〇(自己分析で見つけた自分の価値観)はどの程度重要視されますか?
- 入社前と入社後で、仕事や会社に対するイメージで最もギャップを感じた点は何ですか?(理想と現実のギャップを知る)
- この仕事を選んだ理由は何ですか?就職活動で重視していたことは何でしたか?(先輩の価値観を知る)
質問リストはあくまで叩き台です。会話の流れに合わせて柔軟に質問を加えて構いませんが、核となる検証ポイントは明確にしておくことが重要です。
- 質問例:
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訪問後の振り返りを行う: OB/OG訪問で聞いた話を、自己分析で得た「自分のこと」と照らし合わせて丁寧に振り返りましょう。
- 聞いた仕事内容は、自己分析で考えた通りでしたか?
- やりがいや大変だと感じることについて、自分はどう感じましたか?
- 先輩社員の働く価値観や雰囲気に、共感できる部分はありましたか?
- 訪問を通じて、自己分析で立てた仮説は強化されましたか?それとも修正が必要だと感じましたか?
- この企業/業界に対する興味は、訪問前と比べてどのように変化しましたか?
これらの振り返りを通じて、仮説の精度を高めたり、新たな疑問点を見つけたりすることができます。
短期インターンシップで「やりたいこと」を検証する実践ステップ
短期インターンシップは、より実践的な形で仕事や働く環境を体験できる貴重な機会です。
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検証したい内容でインターンを選ぶ: 自己分析で「やりたいこと」や興味を持った特定の職種や業界、または「チームで働くのが合っているか」「一人で黙々と作業するのが好きか」といった働き方に関する仮説があるはずです。これらの仮説を検証できるような内容の短期インターンシップを探しましょう。例えば、「〇〇という業界のマーケティング職に興味がある」という仮説があれば、その業界のマーケティング職のインターンを選ぶ、といった具合です。
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インターン参加中に意識すること: 単に与えられたタスクをこなすだけでなく、「体験」として、以下の点を意識して過ごしましょう。
- 実際の業務内容: 資料作成、調査、会議への参加など、具体的な業務内容を観察し、それが自己分析で考えた「やりたいこと」とどう違うか、自分にとって面白いか、大変かを感じ取ります。
- 働く環境と雰囲気: オフィス内の様子、社員同士のコミュニケーション、仕事の進め方、服装、休憩時間の過ごし方など、職場のリアルな雰囲気を肌で感じます。自己分析で重視している「働く環境の条件」(例:和やか、活発、個人主義、チーム重視など)と合っているかを確認します。
- 一緒に働く人々: 上司、同僚、他のインターン生など、一緒に働く人々のタイプや関わり方を観察し、自分にとって心地よい人間関係が築けそうかを感じます。
- 企業文化: 社員が大切にしている価値観や、暗黙のルールのようなものを観察します。自分の価値観と合うかを確認します。
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社員との交流を積極的に行う: インターンシップ中は、現場の社員の方と関わる機会が多くあります。積極的に質問をしたり、ランチなどを通じてカジュアルな会話をしたりすることで、OB/OG訪問よりもさらに突っ込んだリアルな話を聞ける場合があります。自己分析で生まれた疑問点や、働く上での不安などを率直に質問してみましょう。
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インターンシップ後の振り返りを行う: インターンシップで経験したこと、感じたことを具体的に言語化し、自己分析の結果と照らし合わせて丁寧に振り返ります。
- 体験した業務は、自己分析で考えていた通りでしたか?面白いと感じた点、難しかった点は何ですか?
- 職場の雰囲気や企業文化は、自己分析で見つけた「理想の環境」と合っていましたか?
- 一緒に働く社員の方々との関わりで、自分が心地よいと感じた点、逆に戸惑った点はありましたか?
- インターンシップを通じて、「やりたいこと」の仮説はどのように変化しましたか?
- この経験から、自分の強みや苦手について新たに気づいたことはありますか?
短期インターンシップは、自己分析だけでは得られない「肌感覚」を得るのに最適な方法です。この感覚と自己分析の結果を組み合わせることで、より解像度の高い「やりたいこと」が見えてくるはずです。
検証結果を活用し、自己分析を深める
OB/OG訪問や短期インターンシップなどの検証活動を通じて得られた気づきは、自己分析の結果をさらに深め、修正するために活用しましょう。
- 仮説の修正・見直し: 検証の結果、「やりたいこと」だと思っていたことが、現実とは少し違っていた、あるいは別の側面に興味を持った、という発見があるかもしれません。得られた新しい情報や気づきに基づいて、当初の仮説を見直したり、別の方向性を探ったりします。
- 新たな疑問点の発見: 検証を進める中で、さらに詳しく知りたいことや、新しい疑問点が見つかることもあります。これらの疑問は、次の自己分析のテーマとなったり、さらに別の検証活動(別の企業のOB/OG訪問、別の職種のインターンなど)へと繋がったりします。
- 自己理解の深化: 実際に働く環境に触れることで、「自分はこんな時にストレスを感じる」「こんな時にやりがいを感じる」といった、自己分析だけでは気づけなかった自分の一面に気づくことがあります。これは、自己理解をより深める貴重な情報となります。
検証は一度で完了するものではありません。いくつかの企業や業界で検証活動を繰り返し行うことで、自分にとって本当にフィットする「やりたいこと」や「働く環境」の解像度が高まっていきます。就活失敗という経験があるからこそ、次のキャリア選択には時間をかけて丁寧に自分と向き合い、現実との摺り合わせを行うことが重要です。
まとめ:行動が「本当にやりたいこと」を見つける精度を高める
自己分析で「やりたいこと」の仮説が見つかったら、それは素晴らしい第一歩です。しかし、その仮説が本当に自分に合っているかを確認するためには、机上の思考だけでなく、OB/OG訪問や短期インターンシップといった具体的な行動を起こすことが不可欠です。
これらの実践的な検証を通じて得られるリアルな情報は、自己分析で明らかになったあなたの内面的な要素(興味、価値観、強みなど)と結びつき、より納得のいくキャリア選択へと導いてくれるでしょう。
就職活動に失敗した経験は、自分自身と深く向き合い、本当に自分らしいキャリアを見つけるための貴重な機会となり得ます。焦らず、一歩一歩、自己分析と検証を繰り返し行うことで、「本当にやりたいこと」を見つけ、自信を持って次のステップへと進んでいきましょう。