就活再挑戦のための自己分析:モチベーショングラフであなたの「好き」と「得意」を明確にする
就職活動、本当にお疲れ様でした。納得のいく結果が得られなかった今、深い不安や焦りを感じているかもしれません。なぜうまくいかなかったのだろう、自分に何が向いているのだろう、と疑問に思っている方も多いでしょう。
この状況は、決してあなただけのものではありません。そして、今回の経験は、自分自身を深く理解し、本当に納得できるキャリアを見つけるための貴重な機会となり得ます。
そのために重要なのが、「自己分析のやり直し」です。特に今回は、過去の経験からあなたの内面にある「好き」や「得意」といった強みを明確にするための有効な手法、「モチベーショングラフ」を活用した自己分析の方法について詳しく解説します。
モチベーショングラフとは? なぜ就活再挑戦に役立つのか
モチベーショングラフとは、あなたのこれまでの人生(幼少期から現在まで)を振り返り、時期ごとのモチベーション(意欲や心の高まり・低まり)の変化をグラフで表現する自己分析ツールです。
単に出来事を時系列で並べるだけでなく、その出来事に対してあなたがどう感じ、どのように行動し、モチベーションがどのように変化したのかを可視化することで、以下の点を深く理解することができます。
- モチベーションが上がる/下がる要因: どのような状況や出来事で意欲が高まり、逆にどのような状況で意欲が低下するのかが分かります。これは、あなたが仕事に求める環境や条件、あるいは避けるべき環境を理解するヒントになります。
- あなたの行動パターンと価値観: モチベーションの変化の波から、あなたが困難にどう立ち向かったか、あるいはどのような目標に向かって努力したかなど、行動の傾向が見えてきます。そこに隠されたあなたの価値観や仕事に対する考え方が明らかになります。
- 隠れた「好き」と「得意」の発見: 意欲が高まっていた時期の出来事や、高いモチベーションで取り組めたことから、「興味のあること(好き)」や「自然と上手くできたこと、努力を苦に感じなかったこと(得意)」が見つかることがあります。これらは、あなたが無理なく活躍できる分野や職種を選ぶ上での重要な手掛かりとなります。
就職活動の失敗は、単にスキルや経験が足りなかっただけでなく、企業との「相性」や、あなた自身が本当にやりたいこと、向いていることと応募先がズレていた可能性も考えられます。モチベーショングラフで過去の経験を深く分析することで、そのズレの原因を探り、次に進むべき方向性を明確にすることができるのです。
モチベーショングラフの具体的な作成手順
では、実際にモチベーショングラフを作成してみましょう。以下のステップで進めていきます。紙とペン、またはPCの表計算ソフトなどを用意してください。
ステップ1:人生の出来事をリストアップする
幼少期(小学校くらい)から現在までの主な出来事を、学年や年齢とともに書き出します。学業、部活動、趣味、友人関係、家族関係、アルバイト、ボランティア、留学、インターンシップ、そしてもちろん就職活動など、公私問わず、あなたの感情が動いた出来事を幅広くリストアップしてください。
- 例:小学校で委員長になった、初めてテストで100点を取った、部活動でレギュラーになれず悔しかった、中学受験に合格した、高校で文化祭の実行委員として〇〇を企画した、大学でゼミの発表を頑張った、アルバイトで褒められた、初めての一人旅に行った、就活で〇社のESが通過した/落ちた、最終面接で不採用になった、など。
出来事の大小は問いません。あなたの心に何らかの影響を与えたことであれば、些細なことでも構いません。最初は箇条書きでどんどん書き出していきましょう。
ステップ2:それぞれの出来事に対するモチベーションの変化を記録し、グラフにする
リストアップしたそれぞれの出来事に対し、その時のモチベーションが平均と比べてどのくらい高かったか、低かったかを数値化します。例えば、平均を「0」として、非常に高かったら「+2」、やや高かったら「+1」、平均的だったら「0」、やや低かったら「-1」、非常に低かったら「-2」のように、5段階や7段階などで点数をつけます。
- 点数をつける際のポイント:
- 出来事そのものの客観的な成功・失敗ではなく、その時のあなたの感情や意欲を基準にします。「成績が良かった」という出来事でも、それが努力の結果で非常に嬉しく意欲が高まったなら高得点、期待外れだったりプレッシャーを感じていたりしたなら低得点、のように、主観的な感情を重視してください。
- 出来事の「時期」を明確にします。グラフの横軸に時間軸(年齢や学年)を取り、縦軸にモチベーションの点数を取ります。
リストアップした出来事を時系列に並べ、それぞれの出来事の時期にモチベーションの点数をプロットしていきます。点と点を線で結ぶと、あなたの「モチベーショングラフ」が完成します。
ステップ3:グラフの波から、モチベーションが動く要因を分析する
完成したグラフを眺め、以下の点を分析します。
- 山(モチベーションが高かった時期):
- その時期に何が起こっていましたか?
- あなたはどのように行動していましたか?
- 何に興味を持ち、どんなことに楽しさを感じていましたか?
- どのような人たちと関わっていましたか?
- そこからどんな感情を得ましたか?(達成感、貢献感、成長実感など)
- 谷(モチベーションが低かった時期):
- その時期に何が起こっていましたか?
- あなたはどのように行動していましたか?
- 何に不満や苦痛を感じていましたか?
- どのような環境にいましたか?
- そこからどんな感情を得ましたか?(無力感、疎外感、停滞感など)
- 全体的な傾向:
- どのような種類の出来事でモチベーションが上がりやすいですか?(例:人との関わり、何かを作り出すこと、課題解決、競争、サポート役など)
- どのような状況でモチベーションが下がりやすいですか?(例:ルーチンワーク、競争が激しすぎる環境、一人で黙々と作業すること、評価されないことなど)
- グラフの波は全体的に大きいですか、小さいですか?それは何を意味していると考えられますか?
これらの問いに対して、具体的な出来事を挙げながら、なぜその時そう感じたのか、深掘りして考えてみてください。
ステップ4:分析結果から「好き」「得意」「やりがい」を抽出する
ステップ3の分析結果をもとに、あなたの内面にある「好き(興味・関心)」「得意(強み)」「やりがい(価値観・動機)」を抽出します。
- 「好き」の発見: モチベーションが高かった時期に共通する「テーマ」や「活動内容」は何でしょうか? 例えば、人前で発表すること、チームで協力すること、新しい知識を学ぶこと、何かを改善すること、困っている人を助けることなど。
- 「得意」の発見: 高いモチベーションで取り組めた出来事において、あなたはどのような能力やスキルを発揮していましたか? 周囲から褒められたこと、比較的簡単にできたこと、自然と熱中できたことなど。これはあなたの潜在的な強みである可能性があります。例えば、コミュニケーション能力、課題解決能力、計画性、忍耐力、創造性など。
- 「やりがい」の発見: モチベーションが大きく向上した出来事や、長く高いモチベーションを保てた状況に共通する「得られた感情」や「満たされていた欲求」は何でしょうか? 例えば、人の役に立つこと、目標を達成すること、自己成長を感じること、自分のアイデアが形になること、安定した環境で働くことなど。これらはあなたが仕事を通じて得たい「やりがい」や、大切にしている「価値観」を示しています。
これらの要素をリストアップし、言葉として明確に定義してみてください。「私は〇〇をすることが好きだ」「私は〇〇という状況で〇〇という力を発揮するのが得意だ」「私は〇〇を通じて〇〇というやりがいを感じたい」のように言語化すると、より整理できます。
モチベーショングラフ分析結果の活かし方
モチベーショングラフを通じて見つかった「好き」「得意」「やりがい」は、あなたの就職活動再挑戦における強力な羅針盤となります。
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企業選び・業界/職種選び:
- あなたの「好き」や「やりがい」を満たせる業界や職種はどのようなものでしょうか?
- あなたの「得意」なことが活かせる企業文化や働き方はどのようなものでしょうか?
- グラフの谷から見えた「モチベーションが下がる要因」を避けられる企業や職種を選びましょう。
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応募書類(ESなど)作成:
- あなたの「得意」(強み)を発揮した具体的なエピソードとして、モチベーショングラフの山のエピソードを活用できます。その際、単に「〇〇をしました」だけでなく、なぜモチベーションが高まったのか、そこから何を学び、どのように行動したのか、といった感情や思考プロセスを含めて記述すると、あなたの個性や価値観が伝わりやすくなります。
- 「好き」や「やりがい」は、その企業や仕事に興味を持った理由(志望動機)と結びつけられます。あなたの内面から出てきた動機は、説得力があります。
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面接対策:
- モチベーショングラフ作成を通じて深掘りした自己理解は、面接での自己PRや志望動機を語る上で自信となります。
- 過去の経験について聞かれた際に、出来事だけでなく、その時の感情や学び、価値観と紐づけて話すことができるようになります。これは、あなたの人間性や仕事への適性を面接官に伝える上で非常に有効です。
- 失敗経験について聞かれた場合も、グラフの谷の分析から得られた教訓や、それを次にどう活かしたいか、といった前向きな姿勢を示すことができます。
モチベーショングラフは一度作って終わりではありません。定期的に見返したり、新たな出来事を書き加えたりすることで、あなたの内面の変化や成長に気づくことができます。
まとめ
就職活動の失敗はつらい経験かもしれませんが、立ち止まって自己分析を見つめ直すための大切なサインです。今回ご紹介したモチベーショングラフは、過去の経験からあなたの「好き」や「得意」、そして「やりがい」といった内面的な要素を引き出す強力な手法です。
グラフ作成と分析を通じて、自分自身がどんな時に輝けるのか、どんな環境や仕事であれば意欲的に取り組めるのかが明確になるはずです。それは、あなたのキャリアをゼロから考え直す上で、確かな土台となります。
焦る気持ちもあるかと思いますが、まずはじっくりと自分と向き合う時間を取りましょう。モチベーショングラフを作成し、あなたの知らなかった自分を発見してください。そして、そこで得られた気づきを、次なる一歩を踏み出すための力に変えていきましょう。あなたの納得のいく未来は、きっとそこから見えてきます。