自己分析で「やりたいこと」候補が複数見つかった!本当に進むべき道を絞り込む方法
就職活動がうまくいかず、立ち止まって自己分析をやり直した結果、「自分が本当にやりたいこと」の候補がいくつか見つかった、という方もいらっしゃるかもしれません。これは自己分析が進んだことによる素晴らしい成果です。
しかし、複数の選択肢が見つかったことで、「どれを選べば良いのだろう」「また迷ってしまった」と、新たな不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、自己分析で得られた複数の「やりたいこと」候補をどのように整理し、納得のいく形で一つ、あるいは少数の優先すべき道を選び取るための具体的なステップをご紹介します。焦らず、一つずつ確認していきましょう。
なぜ自己分析で「やりたいこと」が複数見つかるのか
自己分析を深めると、自分の興味や価値観、得意なこと、譲れない条件などが多面的に見えてきます。その結果、必ずしも一つの仕事や業界だけに合致するわけではなく、複数の異なるキャリアパスが魅力的に映ることは自然なことです。
これは、あなたがそれだけ多様な可能性を秘めていることの証であり、自己理解が深まったからこそ到達できた状態です。決して「迷走している」のではなく、次のステップである「選択」に進む準備ができた、と前向きに捉えてください。
重要なのは、この複数の選択肢を曖昧なままにせず、具体的な基準に基づいて整理し、優先順位をつけていくことです。
複数の「やりたいこと」候補を整理する第一歩
まずは、見つかった「やりたいこと」の候補をすべて書き出してみましょう。頭の中だけで考えていると、考えが堂々巡りしたり、漠然としたままになったりしがちです。
具体的な「業界名」「職種名」「企業名」として書き出せる場合は、そうしてください。まだそこまで具体化できていない場合は、「〇〇な人に貢献できる仕事」「△△というスキルを活かせる働き方」「自分の□□という価値観が満たされる環境」といった、キーワードや要素の形でリストアップします。
書き出したリストを見ながら、以下の観点で整理してみましょう。
- 共通点はありますか? 複数の候補に共通する業界、職種、働く環境、対象とする顧客、求められるスキルなどがあれば、それはあなたが特に重要視している要素かもしれません。
- 異なる点は何ですか? それぞれの候補が、どのような点で他と異なるのかを明確にします。仕事内容、働き方、得られる経験、将来性など、具体的な違いを把握することが、後の絞り込みに役立ちます。
- それぞれの候補は、あなたのどんな経験や価値観に基づいていますか? 自己分析で掘り下げたエピソードや、大切にしたい価値観と、各候補がどのように結びついているかを再確認します。
この整理作業を通じて、それぞれの選択肢が持つ意味合いや、自分にとっての重要度が少しずつ明確になってくるはずです。
本当に進むべき道を絞り込むための具体的な視点(基準)
候補を整理できたら、次に具体的な絞り込みの基準を設定します。自己分析で明らかになったあなたの「Will(やりたいこと)」「Can(できること)」「Must(すべきこと/重要視すること)」の視点から、各候補を評価してみましょう。
1. あなたの「Will(やりたいこと)」を深掘りする
- その仕事を通じて、あなたは「誰に」「何を」提供したいですか? 顧客、社会、チームなど、貢献したい対象と、提供したい価値を具体的に想像します。
- その仕事の「何」に最も心が惹かれますか? 単なるイメージではなく、仕事のプロセス、関わる人、成果、学ぶ機会など、具体的な側面に注目します。
- その仕事をすることで、将来どのような自分になりたいですか? 短期的な目標だけでなく、3年後、5年後、10年後のキャリアパスを描いてみます。
2. あなたの「Can(できること)」と照合する
- それぞれの仕事で求められる能力やスキルは、あなたの「得意なこと」や「これまでの経験」とどれくらい一致しますか? 自己分析で見つけた強みやスキルが最も活かせそうな候補はどれでしょうか。
- 現時点で不足しているスキルがある場合、それを習得することに前向きに取り組めそうですか? 興味を持って学び続けられる分野であるかも重要な基準です。
3. あなたの「Must(すべきこと/重要視すること)」を確認する
- 働く上で譲れない条件(給与、勤務地、労働時間、ワークライフバランスなど)を最も満たしているのはどの候補ですか? 自己分析で明らかになった「避けたいこと」「譲れない条件」と照らし合わせます。
- その仕事や業界は、社会的なニーズや将来性といった観点から見て、あなたが納得できるものですか? あなたにとっての「Must」には、社会的な意義や安定性といった要素も含まれる場合があります。
- あなたの価値観(成長、安定、貢献、創造性など)と、企業の文化や働き方が最も合致しそうなのはどれですか? 「どんな環境なら、自分らしく力を発揮できそうか」という視点も大切です。
これらの視点から、書き出した候補を一つずつ評価してみてください。それぞれの候補について、「〇〇という点でWillに合致する」「△△というCanが活かせそうだ」「□□というMustは満たせないかもしれない」のように、具体的な理由を書き出してみることをお勧めします。
具体的な絞り込み手法と次の行動
候補を評価し、それぞれの強みや弱み、自分との適合性が見えてきたら、いよいよ絞り込みです。いくつか実践的な方法をご紹介します。
1. 評価シートを作成する
先ほど設定した基準(例: Willとの合致度、Canの活用度、Mustの充足度、興味の強さ、将来性など)を項目として挙げ、それぞれの候補に対して点数をつける、◎〇△で評価する、といった方法です。視覚的に比較することで、優先順位が見えてきやすくなります。
2. 情報収集を深める
各候補について、さらに具体的な情報収集を行います。
- 業界・企業研究: 企業のウェブサイトだけでなく、ニュース記事、四季報、業界レポートなども参照し、ビジネスモデル、企業文化、働きがいなどを多角的に調べます。
- 職種研究: 実際の仕事内容、一日のスケジュール、キャリアパス、必要なスキルなどを詳しく調べます。可能であれば、その職種で働く方のブログやインタビュー記事なども参考にします。
- OB/OG訪問: 実際にその業界や企業、職種で働いている方の生の声を聞くことは、最も有効な情報収集の一つです。説明会やウェブサイトだけでは分からない、リアルな状況ややりがい、大変なことなどを質問してみましょう。
情報収集を通じて、当初のイメージと現実とのギャップに気づき、候補の見え方が変わることもあります。
3. 経験や試行錯誤を取り入れる(可能な範囲で)
もし時間的に可能であれば、興味のある分野に関連する活動に少しだけ触れてみるのも良い方法です。
- 短期インターンシップ: 実際に職場の雰囲気を肌で感じ、社員の方と交流することで、フィット感を確かめられます。
- 関連する学習やイベント参加: 興味のある分野のオンライン講座を受けてみたり、業界のイベントに参加してみたりすることで、その分野への関心が本物か、継続できそうかなどを探ることができます。
4. 信頼できる第三者に相談する
一人で抱え込まず、家族、友人、大学のキャリアセンターの職員など、信頼できる人に相談してみましょう。これまでのあなたのことよく知っている人からの視点や、キャリアのプロからの客観的なアドバイスは、新たな気づきを与えてくれることがあります。ただし、最終的に決めるのは自分自身であることを忘れないでください。
優先順位をつけ、次の行動へ
これらのステップを経て、あなたが最も「これだ」と感じる候補、あるいは最も優先すべきいくつかの候補が見えてくるはずです。完全に一つに絞り切れなくても構いません。まずは優先順位の高いものから、企業研究や選考対策を具体的に進めてみましょう。
実際に企業に応募し、選考に進む過程で、さらに自己理解が深まったり、新たな気づきがあったりすることもあります。自己分析は、一度やったら終わりではなく、キャリア選択のプロセスを通じて深まっていくものです。
まとめ:迷いは成長の証
就職活動の失敗を経て、自己分析をやり直し、複数の「やりたいこと」が見つかったという経験は、あなたの成長の証です。迷いや不安を感じるかもしれませんが、それは真剣に自分と向き合っているからこそ生まれる感情です。
今回ご紹介したような具体的な整理・絞り込みのステップを踏むことで、漠然とした迷いは、明確な選択肢を選ぶためのポジティブなプロセスへと変わります。自己分析で見つけた可能性を大切にしながら、納得のいく次のキャリアへと繋げていきましょう。